Bentley Opens New Heritage Garage

Bentley Opens New Heritage Garage

By SAWAMURAMakoto

ベントレー、歴史を称える新たなヘリテージガレージをオープン

103年の歴史を示すヘリテージコレクションの展示室がクルー工場の中心に開設された。ヘリテージコレクションは、34台の公道走行可能な車両と8台のレースカーに拡大しつつあり、すべてのヘリテージカーを完全に走行可能な状態で保管されるという。 まさに、インスピレーション溢れる空間に究極の「おもちゃ箱」が登場したと言えよう。

 

2022年10月13日

クルーの工場跡地に、103年間のベントレーの歴史の中で最も重要なモデルを展示するための施設、ヘリテージガレージがオープンした。ヘリテージガレージは、CW1 ハウスにある既存のベントレーの系譜の展示を補完するもので、現在は1919年以降に製造された22台のコレクションが展示されているが、順次増えて42台のヘリテージモデルを展示することになっている。ゆくゆくはクルーで製造された1946年以降の車両に焦点を当てることになるという。

さらに来年の夏までには、コレクションは3つのエリアに分かれ、重要なクリックルウッドのモデル(1919-31年)とダービー時代のモデル(1931-39年)は近日完成予定のCW1ハウスの展示室に展示され、クルーで製造されたモデルはヘリテージガレージに置かれる予定だ。一方、コレクションのうち8台のモータースポーツカー(ル・マンのスピード8、アイス・スピード・レコード、パイクスピーク・カー、GT3レーサーを含む)は、特別展示とされるようだ。

このヘリテージコレクションのすべての車両は、これまでベントレーの敷地外に保管されていたものを、18ヶ月間にわたる大規模な施設拡張プログラムによって、この新しい施設に集められ、ベントレーの全歴史を体現するものとなった。

ベントレーがビヨンド100戦略の変革の旅を続ける中で、今日のベントレーがどこから来たのかを明確に示すヘリテージコレクションは、重要な役割を担っている。このプロジェクトによってクルーを訪れるすべての人は、顧客、VIP、メディア関係者を問わず、連綿と続くベントレーの生産モデルを、完調で公道走行可能な状態で見ることができるようになる。さらに、ヘリテージコレクションの車両は、ペブルビーチからミッレミリアまで、世界中の主要なイベントにも展示・参加している。

 

新たなショーケース

ヘリテージガレージは、1930年代に建てられたレンガ造りの工場内にあるが、この場所は「プロジェクト・フォーラム」として、2003年のコンチネンタルGTなどのモデルが企画・開発された記念すべき場所。明るく開放的なこの場所は工場の中心であり、工場内を歩くと目に触れる場所でもある。現在、生まれ変わったヘリテージガレージは、ベントレーの美しいビンテージカーに囲まれたイベントスペースとして、社外向けプレゼンテーションや社内のブリーフィングに利用されている。 ヘリテージコレクションの責任者であるマイク・セイヤーは、次のようにコメントしている。

「私たちは、このコレクションを再構築し、私たちの歴史を完全に描き出すとともに、重要な新モデルを発表するたびに、コレクションを追加していくことを決めました。例えば、このコレクションには、ベントレー初のプラグインハイブリッド車であると同時に、電動化に向けた当社のビヨンド100戦略における重要な一歩となった2019年モデルのベンテイガハイブリッドも追加されました。私たちが進化を続ける中で、お客様や社内のあらゆる分野の従業員にもベントレーモーターズの豊かな歴史を共有したいと考えています。ヘリテージガレージはその歴史を鮮やかに蘇らせ、過去の歴史を積極的に参照しながら、未来への道筋をつけることができるのです」

ヘリテージコレクション

コレクションに含まれる42台の車のすべてが、ベントレーの歴史において何らかの特別な意味を持っている。 ヘリテージコレクションのクリックルウッドセクションには、最もアイコニックな戦前のベントレーの数々が展示されている。出発点は、W.O.ベントレーが製造した2番目の車であり、世界で最も古いベントレーであるEXP2だ。次に2台のブロワー(うち1台は現存するベントレーの中で最も価値の高いチームカー#2)、1929年式のスピードシックス、そしてW.O.が2年間にわたり愛用した1930年式の8リッターが続く。

マークVIは、クルー工場から出荷された最初の車であると同時に、短期間で営業上の成功を収めた車でもある。ヘリテージコレクションのAGO 2は、黒地にグリーンのツートンカラーで仕上げられ、1938年式の4 1/4 リッターエンビリコスと1952年式のアイコニックなタイプRコンチネンタルをつなぐ重要な役割を担っている。 1959年にデビューしたジャック・フィリップス設計のアルミニウム合金製V8エンジンも、物語をつなぐ上で重要だといえる。自然吸気エンジンは、ヘリテージコレクションのエレガントな1963年式S3スタンダード・サルーンの176 FGH、そして会長の社用車として使用されたコンバーチブルタイプの1984年式ベントレー・コンチネンタルA455 YGJに搭載されているものだ。

6.75リッターV8エンジンにターボチャージャーが搭載されると、ベントレーの販売台数と世界的な名声は飛躍的に向上した。ヘリテージコレクションには、このパワートレインを搭載した1991年式ターボRや、フォルクスワーゲングループ傘下で初めて生産された2001年式のアルナージ・レッドレーベルなどが展示されている。ファイヤーグローレッドで仕上げられたこの車両は、ベントレーの歴史におけるターニングポイントの1つを示すものだ。 

 6.75リッターV8エンジンは、2020年までベントレーの伝統であるエフォートレス・トルクを受け継いできた。ミュルザンヌのパワートレインとして採用されたこの巨大なV8エンジンは、最高出力512ps、最大トルク1020Nmを発揮し、最高速度は時速184マイル、0-62マイル加速5.1秒の性能を実現。ヘリテージコレクションに採用されたミュルザンヌは、シャシー000002で生産ラインから2番目に出荷されたモデルでインペリアル・ブルーで仕上げられ、インテリアはショートブレッドで縁取られている。

 2003年に発表されたコンチネンタルGTは、ベントレーとクルーに革命をもたらした。それまでベントレーは高度なコーチビルドカーを年間1000台以下しか生産していなかったが、現在ではその10倍以上の台数が生産可能になった。ヘリテージコレクションのシャシーナンバー20001は、サイプレスグリーンの右ハンドルモデルで、クルーの生産ラインから最初に出荷されたコンチネンタルGTだ。

その後すぐにベントレーは、6.75リッターV8エンジンと同様に、コンパクトで非常にパワフルな6.0リッターW12エンジンでも注目を集めた。W12エンジンを搭載したヘリテージコレクションモデルには、3世代のフライングスパーと高性能クーペであるコンチネンタルスーパースポーツの両世代が含まれている。また、汎用性の高いW12を搭載した2016年式ベンテイガのシャシー00001は、生産第一号車で、ベントレーの103年の歴史の中で最も重要なモデルの1つだといえよう。 

一方、先進のベントレー4.0 リッターV8を搭載した車両としては、2014年に発売されたコンチネンタルGT V8S がヘリテージコレクションに採用されている。1950年代半ば以来、初めてベントレーのV8が一新され、現在ではベントレーのすべてのラインナップで新型の4.0リッターV8が提供されている。