Post-War Bentleys in Classic Books

Post-War Bentleys in Classic Books

By SAWAMURAMAKOTO

BOOK FILE 1-2:ORIGINAL ROLLS-ROYCE & BENTLEY 1946-65

定番本で見る戦後ベントレー

世界的な人気を誇る“オリジナル”シリーズの最新刊は「R-R&ベントレー」。 戦後ベントレーの歩みを知るための、絶好のガイドといえる。

text:Hiromi TAKEDA 武田公実

 ヘリッジ&サンズ社刊の「オリジナル」シリーズは、各ブランドのヒストリックカーのメカニズムやスタイリング。そして内外装の装備、ディテールの特徴、さらに生産期間中に行われたモデルチェンジのポイントやオプションパーツなどを、グラフィカルなカラー写真と、解りやすい文章とで解説したレストアラー向け写真資料集として有名だ。ポルシェ356やジャガーEタイプなどの一部モデルについては、わが国でも翻訳版が発売されている。その事実だけを見ても、自動車専門洋書の世界では“定番”とも言うべき人気シリーズであることが理解いただけるに違いない。
 今回紹介するのは、その「オリジナル」シリーズの最新刊。タイトルのとおり戦後のロールス・ロイスとベントレーを解説した1冊である。戦後ベントレーの開祖たる“マークVI”とそのビッグマイナー版“Rタイプ”、R-Rシルヴァークラウドのベントレー版“Sタイプ”。そして、各世代のモデルに設定されてきたスポーティ版“コンチネンタル”をフィーチャー。また、ボディカラーの変遷や、インテリアトリムのコンビネーションなどの細かい仕様の変化も綿密にフォローされている。もちろん、シャシーナンバーやエンジンナンバーのリストなども仔細にわたって記載されており、この時代のベントレーのオリジナルを知るための手がかりとなる情報については、手抜かり無く満載されている。つまりレストレーション用の資料としてだけではなく、バイヤーズガイドとしても充分に有意義な内容なのだ。
 ちなみに初版は1999年に既に発行されていたのだが、今年になって内容を一部加えたこの改訂版が再発刊されている。また、この本の著者であるジェームズ・テーラーは、英国では有名なヒストリアンで、これまでにもロールス・ロイス/ベントレーに関する著書を多数著してきた人物。「オリジナル」シリーズでも、ランドローバー・シリーズ1、レンジローバー、トライアンフ・スタッグ、そしてBMW・Mモデルなど数多くの本を担当してきただけに、今回の本でも多彩な内容をコンパクトにまとめた印象が強い。

ORIGINAL ROLLS-ROYCE & BENTLEY 1946-65
James Taylor著
HERRIGE & SONS社刊
160ページ/英語

※「フライングB No.001」(2008年刊)に掲載された記事に加筆修正しました。 掲載された情報は、刊行当時のものです。