BENTAYGA EWB AZURE - Any luxury car needs to look beautiful in a night city

BENTAYGA EWB AZURE - Any luxury car needs to look beautiful in a night city

By SAWAMURAMAKOTO

BENTAYGA EWB AZURE
夜の街が似合う。それも高級車にとって大事な資質のひとつである。

カナダ・バンクーバーでの国際試乗会で、その出来栄えの良さに感銘を覚えてから約半年。
日本でもベンテイガEWBに乗れる日がついにやってきた。
果たしてあの時に感じた「良さ」は日本でも健在なのか?
  早速、夜の東京にシャンパンゴールドのベンテイガEWBを連れ出してみた。

 “感嘆”と辞書で引くと「感心・感動のあまり声やため息を漏らすこと」という意味が出てくる。夜の東京で、“キャメルbyマリナー”という名の艶やかなシャンパンゴールドに彩られたベンテイガEWBのシルエットが街のイルミネーションに照らし出された時、思わず「ほぉ……」と言葉にならない声が出たのは、まさにこのことだろう。そう、夜の街に映えるのは、高級車にとって重要な資質のひとつでもある。
 もうひとつ、高級車にとって重要なのは目先の豪華さではなく、乗った人々がいかに気持ちよく、豊かな気持ちになれるか?だ。
 スタンダードのベンテイガより少し大きなリアドアを開けると、足元にフライングBのイルミネーションが灯されるとともに、インナードアには22個のLEDを埋め込んだベントレー・ダイヤモンド・イルミネーションが出迎えてくれる。最初は「やりすぎでは?」と思ったものだが、同じシチュエーションで他のクルマに乗り込もうとすると、今度は物足りなさを感じてしまうのだから、不思議なものだ。
 試乗したのは、ベンテイガEWBアズール・ファーストエディション。22ウェイまで調整できるフロントシートコンフォート、レーンアシスト、ヘッドアップディスプレイ、ナイトビジョン、ACCなどのドライブアシストをフル装備したツーリングスペシフィケーション、48Vのベントレーダイナミックライドといったウェルビーイングを高める装備を組み込んだ“アズール”をベースに、20個のスピーカーと1720Wのアンプをもつ高級プレミアムオーディオ“Naim for Bentley”、そして件のLEDウェルカムランプも備えるなど充実した内容を誇る“ファーストエディション”という、最初の12ヶ月だけ受注生産される限定モデルである。
 しかもこのクルマには、ベンテイガEWBのハイライトのひとつというべきオプションのエアライン・スペシフィケーションが装備されていた。残念ながらその恩恵に預かれるのは、助手席背後のリアシートの住人だけなのだが、センターに備えらえたスマートフォンのようなモバイルタイプのタッチスクリーン・コントローラーを手に取りリラックスモードを押し続ける(ドア横のスイッチでも操作可能だ)と、助手席が前方に移動しフットレストが立ち上がってくるとともに、リアシートが40度までリクライニングする。注目すべきはその角度で、これ以上起きすぎても、寝すぎてもリラックスしにくいという絶妙なポジションに収まる。加えて、座っている人の温度と湿度を測定して、最適な温度に自動で調節するシートオートクライメート、身体に接する部分のシート形状を少しずつ変化させることで血行や疲労を改善するポスチュラルアジャストも付いているので、ふと気づくと心地よい眠りに誘われている自分がいる。またスタンダードよりさらに静粛性が改善されているため、Naim for Bentleyの上質な音を堪能することも、静寂の中に身を委ねることもできる。
 一方、ドライバーズシートに移ってもベンテイガEWBは素晴らしいクルマだ。180mmのホイールベースの延長の効果は数値以上のもので、まるでクルーザーのようにゆったりと、それでいて真っ直ぐ確実に走らせる。ベンテイガでは、このEWB初採用となったエレクトリック・オールホイール・ステアリングも直進安定性や、コーナーでの追従性に大きく寄与しているのは間違いないが、それ以上に驚いたのは小回りの効き方だ。転回可能な交差点で気負いもなくUターンできるのは、全長5305mmという巨体を思えば驚異的なことだ。それはまたベンテイガEWB が、ショーファー・ドリブンカーとしてもドライバーズカーとしても高い能力の持ち主だという何よりの証拠といえるだろう。